2006年5月27日:ジャワ島地震
京都大学東南アジア研究所有志からのジャワ島地震に対する支援活動のお知らせ


募金受付終了のご案内
2006年11月22日

→ ジャワ島地震の被災情報・救援活動情報へのリンクへ



■ジャワ島震災復興支援活動の最新情報(2007年4月12日)


2006年11月22日付で、東南アジア研究所が呼びかけたジャワ島地震に対する支援活動である募金の使途を、下記のように設定していました。

当初の予定どおり、浜元聡子(東南アジア研究所)がジョグジャカルタへ向かい、同地の現況を再確認してから、適切な支援活動を開始することになっていました。

再確認作業の中で、ジョグジャカルタの被災地域を歩くうちに、東南アジア研究所の支援活動として、より適切な計画の可能性が見つかりました。

みなさんにいただいた募金をもとに、以下のような支援活動を行う計画を進めています。
また、この支援活動をもとに、より大きな支援活動に発展させていきたいと考えています。


プカランガン

ジャワの農村の伝統的な景観であるプカランガン(Pekarangan:屋敷林)の再整備を村のひとびとと共におこない、ここに防災情報拠点を作ろうというものです。プカランガンの本来の定義は、個人の住宅の屋敷地内に植えられた植物があり、家畜がいる空間を意味します。これを村のプカランガン(Pekarangan Desa)として整備し、村の人びとの公園のようなものを作ろうというのが、募金の使途となります。

地震の規模としては、決して巨大地震とはいえなかったとされるジャワ地震による犠牲者数は、それでも5000人を超えました。家屋倒壊による犠牲者が圧倒的に多かったとはいえ、自然災害が起こりうる可能性の場所や、その発生の条件などを、日常生活の中の中で、人びとが知るような場所や機会を作るのはどうだろうか。このように考えました。

震災の被害を受け、家屋が倒壊し、瓦礫などが庭先や空き地に積み上げられたままの村も、2007年3月現在、まだまだあちらこちらで見られます。殺伐とした光景を緑の景観に変えるためにはどうすればよいか。このように考えて、果樹や草本類を植えることにしました。村のひとたちや、ジョグジャカルタに生活する留学生や日本人のかたたちと一緒に、準備を始めています。

場所:
ジョグジャカルタ州・バントゥル県・パンダック郡・ウィジレジョ村・ゲシアン集落
Perdukuhan Gesikan, Desa Wijirejo, Kecamatan Pandak, Kabupaten Bantul,
Daerah Istimewa Yogyakarata, INDONESIA

地図


計画

プカランガン計画は、当面、3カ年で実施する予定としています。
1年目:
プカランガン(屋敷林)の整備
観葉植物の花壇整備
ビオトープ整備
防災・減災情報拠点整備 >> 身の回りの自然環境を知ることで、自然災害を未然に防ぐ >> 地域のジオラマ作り

2年目以降:
防災・減災情報拠点整備における防災教育の実践、自然生態環境の学習、観葉植物やハーブ類の栽培(経済活動へ)

予定地の概念図 (クリックでPDFファイルが開きます:631KB)



活動メンバー

インドネシア:
ジョグジャカルタ在住の日本人有志、インドネシア人有志、ガジャマダ大学留学中の日本人など15名
日本:
浜元聡子、山本博之、小野祐輔(以上、京都大学)、横山豪志(筑紫女学園大学)、貞好康志(神戸大学)、小國和子(日本福祉大学)、市川昌広(総合地球環境学研究所)、大西信弘(京都学園大学)、矢部達也(矢部達也建築設計事務所)


財源

東南アジア研究所・ジャワ島緊急災害募金  合計97,145円
募金をいただきました方々のお名前は、ウェブ上ではご紹介いたしませんが、あらためてお志に厚く御礼を申し上げます。

この募金はプカランガン計画の実行と運営の資金として、全額が寄付することが提案され、東南アジア研究所有志一同の承認を得ました(2006年12月23日)。

募金は全額、プカランガン計画の現地協力者・経理担当のリンダ氏(Rinda)とスマルワント氏(Sumarwanto)に手渡し(2007年2月17日)、ジョグジャカルタ市中で換金されたのち、同市内の金融機関に、一旦、全額が預金されました。

現在残高:97,000円×Rp.77.65/円=Rp.7,532,050 (2007年3月23日)

今後、予定されている支出:
観葉植物・果樹・その他の草本類の種苗購入費/園芸道具一式/防災情報拠点整備関連の打合せ経費/文具などの消耗費/通信費など。

その他:
民間助成金および科学研究費などを申請する予定。


おわりに

募金活動を終了してから、最終的な使途を決定するまでに、予想外の長い時間がかかってしまいました。募金をいただきましたみなさまに、そのことをお詫び申し上げるとともに、あらためて、お礼を申し上げます。

今後は、上述の活動メンバー一同、研究者が自然災害に遭遇した地域社会に対して、どのような形で関わることができるかについてを考えながら、ジョグジャカルタでの活動実践メンバーとともに連携して、新しい防災・減災対策を考えようと試みる予定です。現時点では、まだ、プカランガンの形は明瞭には見えていません。樹木や草本の成長とおなじように、ゆっくりとおおきく育っていきたいと思っています。たまたまジョグジャカルタに居合わせた人たちと、インドネシアを専門に研究してきたり、その他の専門的背景を持つ人が、自然災害からの復興という状況の下に、集まることとなりました。まったく新しい試みであると同時に、それぞれのメンバーにとっても、ほとんどが初めて関わることとなった領域の活動です。しばらくは、手探りの状態での活動が予想されますが、どうぞ温かく見守ってくださいますようお願い申し上げます。

2007年4月29日には、ゲシアン集落において、この活動の現地説明会を実施します。プカランガンは、どなたに対しても開かれた空間です。お近くにいらっしゃるかたは、ぜひお立ち寄りください。

プカランガン計画・メンバー一同
2007年4月12日

今後の連絡先:
浜元聡子 pekarangan@gmail.com (@:半角にご変更ください)

■募金の開始から停止までの流れ
2006年6月13日付で、京都大学東南アジア研究所有志(以下、東南研有志)から、ジャワ島地震に対する支援活動として、緊急災害募金をおこなう旨を、お知らせいたしました。

被災地視察
この間、有志メンバーである浜元聡子が2回にわたり、ジャワ島ジョグジャカルタ市およびクラテン県を訪れています。
一回目の視察(2006年6月23日〜7月2日)では、被災地の社会経済的復興状況に関する情報を収集しました。地元で活動するNGOやさまざまな学生組織や個人で援助活動をしている人から、被災直後の村落の様子やその後の組織力復興の様子、社会経済的復興に向けての現地情報等を収集しました。

防災教育活動
この現地報告会の場で「京大防災教育の会(KIDS)」と東南研有志とで、ジャワ地震被災地における防災教育活動の実践を試みる話がまとまりました(2006年7月14日)。KIDSのメンバー3名(伊原健郎:KIDS会長、長神新之介:同副会長、堤内隆広:同書記)と顧問の清野純史(京都大学工学部助教授)が同行し、ジョグジャカルタ近郊の村の集会所と小学校の2カ所で、防災教育活動をおこないました。


(以下は、2006年11月22日付の募金の使途に関する説明です)
募金の使途決定へ
上記のような活動を踏まえ、東南研有志一同は、集まった募金の使途について、度重なる話し合いの場を持ちました。
その結果、防災教育活動を通じて、子どもたちとの「つながり」を得た上記の集会所と小学校に、文房具を贈ることを決定しました。絵の具、クレパス、色鉛筆のほか、画用紙、折り紙、千代紙などをおくり、思い思いに絵を描いたり貼り絵、ちぎり絵などをして、ひとときでも自分だけの楽しい時間を経験してもらいたいと考えています。

もちろん、それでこどもたちの被災体験のうち、つらい思い出の部分がすべて解消されるものではないでしょう。
なんらかの「きっかけ」となればよいなと思っています。それが「癒し」のきっかけであれば、なおのこと、よいだろうなと思っています。

こどもたちに文房具を贈ったあとは?

二回の被災地訪問で親しくなった地元NGOや、ガジャマダ大学の学生たちにお願いして、定期的に、現地通信を送ってもらうことを考えています。その現地通信は、毎回、このウェブサイトで、みなさまに報告する予定としています。

■募金の使い方について
上記の集会所と小学校での防災教育に参加してくれたこどもたちは、合計4つの小学校から来ていました。東南研有志としては、小学校単位で文房具を贈るのではなく、二回の防災教育活動に参加してくれた「地域単位」のこどもたちに、文房具が行き渡るようにしたいと考えています。

こどもたちの書いた絵や創作したものを紹介していき、その姿をとおして、ジャワの被災地の復興の様子を、お伝えすることが、東南研有志が責任をもってできることだと考えています。

文房具の運搬や、現地で協力していただく人々との活動の調整は、浜元聡子がおこないます。京都では、残りの有志メンバーが後方支援活動として、ウェブサイトでの情報発信などをおこないます。


■おわりに
今までにいただきましたみなさまからのご助言・アドバイス等々を、できるだけ反映させたいと考えています。実際の被災地のこどもたちの様子をみて、上記で説明したようなわたしたちの活動は、変更されることもあります。その場合は、逐次、この場所で現況として報告していきたいと考えています。

今後とも、わたしたちの活動をあたたかく見守っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


2006年11月21日
京都大学東南アジア研究所 有志一同


(以下は、募金活動を開始した当初のメッセージです。)
■ 京都大学東南アジア研究所有志からのメッセージ

インドネシア・ジョグジャカルタ特別州南部にあるバントゥル県付近において、阪神大震災級の地震が発生し、ジョグジャカルタおよびその周辺村落において、多くの人命が失われるとともに、家屋、学校、公共の建物が倒壊するなど、甚大な被害がもたらされました。13万人を越える被災者は、急ごしらえの避難所で、不安な日々を過ごしています。

インドネシア、とりわけジョグジャカルタ地区は、東南アジア研究所の多くのスタッフが、これまでに、長期滞在し、現地の人々にお世話になりながら勉学や調査・研究に励んできた土地です。研究所スタッフの有志数名は、地震発生直後から、被害状況を把握するための情報収集活動を開始しました。また研究所内の有志によって「ジャワ島地震復興支援チーム」を結成し、今後の復興支援活動の具体的な内容を検討し始めています。

地域は、それぞれ、固有の社会・経済システムや文化をもっています。したがって、復興支援のためのニーズも、当然、地域によって異なります。さらに、復興が進むにつれて、ニーズも変化していくでしょう。私たちは、これまでの経験を生かして、彼ら/彼女らのそのときどきのニーズを慎重に把握し、できる限り有意義な支援活動を実施していきたいと考えています。

この支援活動を、より広く、みなさんに支えていただくために震災時救援金を募ることにしました。この資金をどのように使い、またそれが被災地の復興にどのように貢献することができたのかについては、私たちが責任を持って、このウェブサイトを通じて報告していきます。ご賛同いただける方は、ぜひ、下記の方法で救援募金をお送りいただきますようお願い申し上げます。


2006年6月13日
京都大学東南アジア研究所有志・ジャワ島地震復興支援チーム